「明けない夜はない」とは言うけれど、FC岐阜はもう勝てないままシーズンを終えるのではないかと思うことさえあった。
ファジアーノ岡山を迎えた一戦、この日は高橋陽一先生が来場とあってキャプテン翼一色。
試合前には小説家でありFC岐阜の熱狂的サポーターである白鳥士郎先生と、日向小次郎役の声優佐藤拓也さんとのトークショーが開かれた。サッカー好きな子供なら世界中の誰でも知っているレベルのマンガを生み出した人だが謙虚で控えめな方だった。
試合直前にはタオルを振り回してサポーターとともに選手を鼓舞してくれた。
他にも元日本代表コンビの戸塚哲也さんと永島昭浩さんのトークショーも。
戸塚さんは元FC岐阜の監督として愛情たっぷりに、永島さんも岐阜の試合を観戦することは初ということだったが、ガンバが残留争いから急上昇した経緯をうまく岐阜に絡めてエールを送ってくれた。
そんな中始まった試合は、正直前半途中で敗戦を覚悟した、そんな内容だった。
まずパスが2本と繋がらない。縦へのボールも「誰かいればいいな」というような無責任なパスばかり。
初シュートは終了間際にCKの流れからようやく打てたという散々な内容だった。
失点も必然だった。後半12分に齊藤和樹に決められる。
その後も攻め手を欠き、連敗濃厚となった後半29分。難波宏明が投入されると試合は一変。
激しい運動量と熱い気持ちが時に空回りして、ファールでチャンスを潰してしまうことがここ数試合は見られたが、この日の難波は違った。
裏を狙ったりサイドに流れてクロスを供給したりと岡山のDFラインを崩し、迎えた後半33分。難波投入から僅か4分後だった。
三島のクロスに難波が潰れたところを田中パウロ淳一。飛び込むGKの動きをよく見て左足アウトで逆を突く非常に高度なテクニックで同点ゴールを決めた。
勝ち点1でもとにかく欲しい残留争いだが、大木監督はさらにここで石川大地を投入。1ではなく3を取りに出た。
その想いが結実したのは後半42分。その石川大地のJリーグ初ゴールが決まり逆転。DFのクリアボールを落ち着いて左足で流し込んだ。
残りの時間はもう全員必死の守り。
必死の形相で7/15の甲府戦以来14試合ぶりの勝利を手にした。試合終了直後は、喜ぶというより力尽きて倒れ込んでおり、選手同士で喜びを分かち合うのに時間が必要なほどだった。
残り15分で逆転勝利、しかもベテランとルーキーの活躍というまさにキャプテン翼のマンガのような展開で勝利を収めた岐阜。残り5試合で降格圏との勝ち点差は7。ただ21位の讃岐は1試合少ないだけに安心感はゼロに等しい。
必殺シュートも直角フェイントもないが、クラブ一丸となって(残念ながら今年もまた)残留争いを勝ち抜いてほしい。
キャプテン翼DAYにふさわしく、今シーズン初出場となった青木翼。山岸との攻撃ラインを上手く組み立てることはできなかったが、守備ではしっかり体を張って最少失点に抑えた。
古巣対決となった竹田忠嗣も安定感が光った。
ここ数試合、ビクトルへの厳しいコメントが続いた大木監督だったが、自らビクトルとハグ。撮り逃したのが悔しい!
目の前にいた小学生が「イジメくん!」と連呼していたゆるキャラ。そんな名前ではないと思うよ(笑)
GGGを引き連れ、ゲームキャプテンの阿部正紀とハイタッチし、ゴール裏への挨拶に向かう選手を引率するギッフィーの姿は正にキャプテンのそれ。
高橋先生!次回作の主人公は決まりですね!